研究分担者 |
峯岸 正好 東北大学, 抗酸菌病研究所付属病院, 医員 (20211592)
寺沢 政彦 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (80192201)
佐藤 徹雄 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90170761)
土屋 滋 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (30124605)
洲崎 健 東北大学, 抗酸菌病研究所附属病院, 助手 (90134048)
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研究概要 |
HLAハプロタイプ不適合骨髄移植を, 大豆凝集素処理と羊赤血球ロゼット形式によるT細胞除去と, 羊赤血球ロゼット形式のみによるT細胞除去の方法を用いて施行した. 重症複合免疫不全症の2例のうち1例はすでに5年半の長期にわたる移植後の経過を経て完全な免疫再構築がなっているが, 1例は移植後短日時のうちに重篤な感染症で死亡したので, 免疫能の再建は観察されなかった, 先天性不良性貧血の1例は移植後未だ経過期間が短く, 生着の確認が未だ得られていないので, 今後引き続き観察を継続する. 長期観察例のHLAハプロタイプ不適合骨髄移植後の免疫構築の推移と次の通りである. (1)細胞性免疫能の再建は比較的すみやかに得られたが, T細胞の表現型の中で, CP3^+4^-8^-細胞が移植4年後に10〜30%の割合で出現した. 通常微量(〜2%)の存在しか認められないこの表現型のT細胞の増加の病態学的意義は未だ不明であるが, この時点でのCD4^+細胞の減少との相関, NK細胞との関係など興味深い知見である. 最近, T細胞レセプターγ鎖がこの様な細胞に発現しており, 新しいT細胞の一郡をなすことが利明しており, それとの関連で検索をすすめる予定である. (2)T細胞はドナー由来で, B細胞は宿由来と, T, Bキメラ状態であるが, 本来主要組織適合複合体拘束性のT, B細胞の協同作用が確認された. ドナ由来T細胞が宿主由来B細胞に対して寛容を獲得した結果と見做される. 臨床的に, 骨髄移植の生着が, T・Bキメラの状態にあっても免疫再構築が可能であることを示唆しており, 重要な知見である. (3)B細胞機能の回復はT細胞に比して遅く, 本症例で免疫グロブリン補充を中止するまで5年を要した. (4)NK細胞の活性発現が非常に遅れているが, Leu7^+は早くから存在し, Leu11^+は5年以上を経て増加傾向にある. (5)HLA適合同種骨髄移植を6例に実施し, その免疫〓再建の追跡研究を行んている.
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