研究概要 |
1.研究計画に従い, 左右肺同時換気から交互肺換気に移行した時の肺内V^^′_A/Q^^′分布の変化をWagnerらの手法を用いて犬で検索した. 平均気道内圧の低下と肺胸郭コンプライアンスの上昇がみられたが, 循環系諸量の変動な少なく, V^^′_A/Q^^′分布においても大きな変化はみられなかった. しかしmean Qが分離肺換気, ならびに交互肺換気に移ると共に, それぞれ高い方へ移動する傾向がみられた. 2.左右肺別個にV^^′_A/Q^^′分布を得るため, excretion curveからのV^^′_A/Q^^′分布のrecoveryを試みた. この結果は予想どうりV^^′_A/Q^^′の低い部分での誤差の効果が結果に大きく影響し, lowV^^′_A/Q^^′の部分の血流分布の解析には不安が残った. また血流Qについてのlog SDはretention curveより求めた方がexcretion curveより求めた分布より有意に大きく, また換気Vについてのlog SDはexcretion curveよりの方がretention curveよりのものより大であったことは注目に値する. 3.犬の分離肺換気が困難であることは周知の事実であるが, 本実験では犬の気管分岐部の計測結果からMKP-dividerを試作して使用した. しかし, これをもってしても犬の左右肺を完全に分離して換気するのは容易でなかった. 4.微量ガス分析に対するガスクロマトグラフーマススペクトルグラフ(GC-MS)の応用も本研究の重要な課題であったが, GCを併用することにより, リーク弁を使用したMastenbrookらの結果に比較して多くの改善がみられ, エタン, サイクロプロペイン, ハロセンも分離測定が可能となった. しかし測定に要する時間の点ではGC単体による場合と比べて劇的な改善が得られたとは言いがたかった. また感度を上げるにつれてバックグラウンドが増加し, S/N比が悪化する傾向があり, 混合静脈血2回目平衡後の資料分析にはやや感度不足の場合があった.
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