研究概要 |
1986〜1987年度にわたって交付された「眼球運動に関するデータ基準化の試み」によっておこなわれた研究成果を簡単に述べる. 1.本研究課題のもとで行われた研究 (1)眼球運動の測定にかかわる較正手続の新しい方法の確立;眼球運動の測定にかかわらず生体情報の計測には較正手続が不可避であるが, 特に眼球運動の高精度な計測には厳密な手続きが必要とされている. またその較正手続は, 単一の記録方法に特殊的なものではなく広範囲に適応される必要がある. このことに関して従来の, 水平/垂直マグニチュード較正法に代る, 多点直線化法を開発した. この方法は, いかなる眼球運動測定法によらず, 水平/垂直の二つのコンポーネントが独立して記録されさえすれば, 被験者に多くの負担を与えることなくデータの直線化が行えることになった. (2)較正手続を研究する為の多用途グラフィシクプロセッサでの刺激図型の生成;較正手続が確実に有効か否かは, 様々な較正点の視覚的呈示と, その後の実データの基準化を行わなくては評価ができない. この研究では, これらの手続きをフレキシブルに行えるように, かつ動体の視覚刺激を生成することをも目的として高級グラフィシクプロセッサを導入し, 既設のシニコンとGPIBインターフェースで制御するユーテリティの開発を行なった. メーカーから公けにされた, アスキーバイナリーテキストをアセンブラーとフォートランにより約200種のコマン群に翻訳し, それらを用いて視覚刺激の生成制御を行なった. アプリケーションの数は約150種に達し, そのうち10種のプログラムが実際に稼働している. 2.応用研究;上記の基礎的研究で得られた知見をもとにしてスリット視, 誘導運動, 眼球運動の相互関係が検討された. また実際の実験ではフィールドワークでもデータの取得が行われた.
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