研究概要 |
研究目的:検索に係わる記憶処理過程と再認または再生の実現過程を操作的に分離する実験状況のひとつに, 再認テストの直前に未想起項目に対して'feeling-of-knowing(FK)判断を求める方式がある(Blake,M.1973)この実験パラダイムを用い, FK判断と再認スコアの相関関係を手掛りとして, 記憶情報についてのモニタリング機能を調べる. 研究計画・本研究は, 以下のような手順で進められた. (1)言語材料を用い, 記銘-再生FK判断-再認の実験パラダイムにおいて, 記銘時条件とテスト時条件を系統的に変動させる実験を行う. (2)画像材料を用いて上記(1)と同様な実験ができるような記憶実験サブシステムを作製し, 比較実験を行う. 研究成果:(その一)単語を記憶項目とした実験では, 人為標識の区分において抱括的にサブ・グルーピングされている項目は, 標識そのように区分されていない項目に比べて, 記銘時にプリビューの繰返しがある場合には未想起項目に対してFK判断を示す割合が比較的高い. しかし, FK判断が認められた事例のみを抽出して, それぞれの標識を手掛とする正再認の割合を調べてみると, サブ・グルーピングされている項目の方が劣っている. 即ち, FK判断を促進する要因の中には, モニタリングの精度を低めるものがある, という新たな知見が得られた. (その二)画像材料を用いて, 上記(1)と対応した実験を行うために, 高解像度の画像材料を系統的に発生・提示するための実験システムを構築した. 画像材料を作るデータベース用プログラムと, そられの画像材料を洗濯し, 提示して, 記銘, 再生, 再認を行なわせ, その反応を記録・分析する実験用プログラムを作った. これによる実験は現在進行中である.
|