研究概要 |
1.1980年農業集落カードからの約3%の無作為抽出標本4167集落について, 7項目の主成分分析を行った. その結果, 農業従事性成分と離農性成分の2主成分で累積寄与率73%となった. 約1%の標本を用いても類似した結果が得られ, 1400集落程度の標本でも全国のかなりよい縮図をなしていることがわかった. 2.任意の集落の主成分得点を, 各項目の平均・標準偏差および各主成分係数ベクトリを用いて算出し, それらの集落が全国農業集落の縮図のどの辺に位置するかを視覚的に示すことができる. この分析を, 宮城県鹿島台町29集落について行った. 3.主成分分析に用いた7項目のうち5項目を用いた潜在プロフィール分析で解を得ることができた. その結果, 農業集落を(1)農業が盛んなクラス, (2)農業の程度が中間的なクラス, (3)農業が盛んでないクラスという3つの異質な層に分類できた. 個々の標本集落がどの潜在クラスに属するかを判定するために, 判別関数を利用した. 4.標本4167集落の判別関数の係数を利用すれば, 任意の集落の2種類の判別値が計算できる. 判別値で作られる空間においてこの集落の判別値の座標と各潜在クラスの重心の座標とのユークリッド距離をもとめ, この距離が最小のクラスにその集落が属すると判断することを提案した. 5.潜在クラス間で「あとつぎ男子専従者のいる農家率」の平均には有為な差があった. この率が0%の集落の比率にも, 違いが見られた. 各クラスごとに「あとつぎ男子専従者のいる農家率」を目的変数とした重回帰分析を行ったが, 用いた6説明変数ではこの目的変数を十分に説明できなかった. 6.「あとづき男子専従者のいる農家率」に寄与する要因の解明, 1985年データとの比較が今後の課題である.
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