研究概要 |
本研究は, 大学の地域社会に対する諸種のサービスの在り方を, 大学の「第3の機能」という観点から明らかにするべく構想された. 本研究においては, もちろん研究対象の中核には, 東北大学それ自身, また昭和48年, わが国国立大学のなかにあって, 最初に設置された「東北大学教育学部附属大学教育開放センター」がおかれなければならないことはいうまでもない. すなわち, 本研究においては, 東北大学, とくにこの「大学教育開放センター」の活動を, 「大学」と「地域社会」の関係という視点から, さらに「第3の機能」論の観点から分析することが中心となるが, またその実態と比較対照するという意味で, 地域社会への貢献を真剣に模索している大学, あるいは地域社会への貢献をまさに実践するために「大学教育開放センター」を設置している大学として, 熊本大学, 香川大学, 大阪大学, 金沢大学の4大学を選び, これらの大学の状況を把握するとともに, とくにこれらの大学が置かれている社会的基盤を明らかにするための基礎的データの蒐集に力をいれた. さらに, これらの蒐集データは, 質的データもふくめ, すべてコンピューターに入力し, 「第3の機能」研究のための基礎的データベースの構築をめざす. 61年度から62年度にわたって, 東北大学の「大学教育開放センター」を中心に, 2つの意識調査をおこない, 大学というものが地域住民にどのようにうけとめられているかをみた. 地域住民の大学に対する見方, 考えかたはさまざまであるが, 期待するものは大きいといえる. これは, ひとり東北大学の場合だけでなく, 熊本, 香川, 大阪, 金沢大学においても同じである. そして, また各大学は, 東北大学における「インテリジェント・コスモス」構想のように, 独自の地域社会への貢献の道を模索しはじめている. こうした時期, 大学への「第3の機能」論的アプローチの重要性が改めてクローズアップされてこざるをえないであろう.
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