研究分担者 |
保苅 瑞穂 東京大学, 教養学部, 助教授 (70011294)
蓮實 重彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (30012454)
横山 正 東京大学, 教養学部, 教授 (80012417)
高辻 知義 東京大学, 教養学部, 教授 (80012467)
阿部 良雄 東京大学, 教養学部, 教授 (60012465)
中地 義和 東京大学, 教養学部, 助手 (50188942)
滝田 文彦 東京大学, 教養学部, 教授 (30012264)
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研究概要 |
「ダダ・超現実主義」の運動と, それが深い関わりを持つ二十世紀の「前衛芸術」全般を考察するにあたり, 本研究グループのメンバーの仕事は自ずと歴史的地理的に広範囲に亙るものとなった. そして, フランス・ヨーロッパにおける前衛運動のみならず日本におけるその受容・展開の過程をも跡づけることが, 当初からの目標であった. 研究の出発点となったのは, 1986年秋から翌年春にかけての, パリ・ポンピドゥ国立文化センターにおける「前衛の日本」展であるが, これには本研究グループから阿部・渡邊・蓮實の三名が企画段階から参加し, そのカタログに論文を寄稿した. この展覧会で浮き彫りにされたのは, 日本とフランス(あるいはヨーロッパ)における「前衛性」のずれである. 日本における「前衛」が必ずしも同時代のフランスでの「前衛」に見合うものではなく, 日本では重要な変革と看做されるものが, ヨーロッパではもはやそのようなものとして認知されないということがしばしば起こる. また「二十世紀の前衛」とは言っても, 直接ダダ・超現実主義に関わらないものも包含されるわけであるから, 考察の視点をダダ・超現実主義のみに絞ると, 「前衛芸術」の捉え方が極めて〓頗なものになるという問題が生じる. 以上のような反省を踏まえて, 昭和62年5月-6月に本研究グループを中心として東京大学教養学部において, 『今, アヴァンギャルトとは』と題する連続シンポジウムを行った. 各回のテーマは, 「ポスト・モダンの地平」, 「テクノロジーと前衛」, 「劇場というフィクション」, 「現代音楽の地平」である. 上記二つのイヴェントを軸に展開された本研究において各メンバーが専攻分野で挙げた成果については, 「研究成果報告書」を参照されたい. 本研究は, 課題として掲げた分野において, 特に, 国際的視野から, また諸芸術の相関関係の視野から, 見るべき成果を収めたものと考える.
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