研究分担者 |
富田 安信 大阪府立大学, 経済学部, 講師
伊藤 正一 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (30167259)
TOMITA Yasanobu Lecturer, School of economics, University of Osaka Pref.
冨田 安信 大阪府立大学, 経済学部, 講師
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研究概要 |
1.春闘による統一的な資金交渉とちがい, ボーナスの決定方式, 決定時期は業種により様々で支配的なものはない. 主な決定方式としては五方式ほどあるが, 業種, 企業で固定的なものではなく, かなり流動的である. 年間臨時給与実施の企業割合は, オイルショック以前は高かったが, オイルショックにより半減し, その後年々割合が増加している. 規模別でいえば, 大企業の方が中小企業に比べて年間臨給の割合が高い. 年間臨給と年2回の交渉間との選択は, 業績変動を賃金によりすばやく反映させることと, 交渉等による取引費用との間のトレード・オフ関係のもとでの最適化から生じると考えられる. 2.ボーナス比率は固定的で, ボーナスは賃金の一形態であるという説があるが, 平均でみるとボーナスの比率はかなりの変動をしている. 企業別にみても, 固定的なボーナスの業種もあるが, 変動の激しい業種も存在している. 特に, 企業業績が悪化した場合, 同業種内の企業と歩調を合わさずにボーナス月数を減らす企業がみうけられる. この点はより詳細な検討が今後の課題である. 3.ボーナスが伸縮的資金であると仮定して, 人的資本理論を適用すると, 企業にとってより固定的である特殊人的資本の多い雇用者ほどボーナス比率が高くなるという命題が導かれる. この命題を勤続年数, 企業規模, 職種といった特殊人的資本量の多少を決める要因別にボーナス比率を調べてみると, すべて命題を支持する結果が得られた. 4.産業別レベルでは, 企業業績を表わす変数がボーナス比率に対して有意な産業が多くみられた. 5.内部労働市場の需給状態を表わす変数として労働抱え込み率を計測し, この変数がボーナス比率, 賃金上昇率, どういう影響を与えるかを調べた. その結果, 内部労働市場の変数は賃金上昇率よりもボーナス比率に対して有意な産業が多かった.
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