研究概要 |
本研究は, 小中学校教師の科学教育向けのプロセス・スキルを養成し, 強化するための教材開発を目標とした. そのために, つぎのような取り組みを展開した. 1.第一年度は, 小中学校教師に必要なプロセス・スキルを明確にするため, 現職教師の問題意識, 科学教育に関する力量などを小規模に調査した. 2.その結果を踏まえて, 新しい実験や観察活動を開発するよりも, むしろ従来から科学教育で扱われる題材を教師自身が興味を持って学習活動に使う意欲が持つような教材にする必要があるという結論に到達した. 3.あわせて, それに相応しい題材の点検と小規模な試作, 試行を行った. 4.第二年度は, 教師のプロセス・スキルとして(1).情報処理と生産(生成)の能力の獲得, (2).教師自身の学習活動の構成技能の二つを設定して. その上で, 学習指導の展開に必要な要素を検討し, そのためのモデルを構成した. 従来の科学教育教材の開発事例点検し, プロセス・スキル養成の典型的事例に相応しいトピックスとして, 10を超えるものを試作開発し, ガイドブックを作成した. 試作制作したワークシートを含む教師向けガイドブック(試作版)は, 鳴門教育大学の大学院院生の現職教師はじめ, 地域の教師に試行して修正を加えた. この研究成果を取りまとめて, 近く教師向けに「教材開発のプロセススキル・ハンドブック」を刊行する計画である. 本研究は, 単に個々の教材事例を紹介するだけではなく, それを越えて, 教師が教材開発と学習展開に必要なプロセススキルが獲得できるような教材を用意する技能の向上を目指した点に特徴がある.
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