研究分担者 |
中尾 慎太郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (90030783)
小松 玄 大阪大学, 理学部, 助教授 (60108446)
井川 満 大阪大学, 理学部, 教授 (80028191)
渡辺 毅 大阪大学, 理学部, 教授 (50028081)
池田 信行 大阪大学, 理学部, 教授 (00028078)
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研究概要 |
時間的おくれのある放物型発展方程式の基本解を構成した. その種の方程式の可能性については, おくれの項の係数の滑らかさの緩い条件のもとで種々の事実が知られているが, その係数がヘルダー連続ならば基本解を構成出来ることがわかった. おくれのない場合との著しい相異は, おくれの巾の整数倍の時点毎に基本解の導関数の特異点が現れることである. この基本解を用いておくれの項の作用素が有界である場合に神戸大工学部の中桐信一氏が行なっている制御の理論の相当な部分を, それらの作用素が非有界の場合に拡張出来ることがわかった. そのために空間を拡大して解が半群S(t)を用いて表される様にするのであるが, その共役作用素S^*(t)が登場するので中桐氏の方法をそのまま用いることは出来ない. そこで方程式をヒルベルト空間の中の方程式, 主作用素が強楕円型二次型式で定められるものとして, 方程式を必要に応じ負ノルム空間の中でも考えることにすれば中桐氏の結果の多くが拡張出来ることがわかった. 即ち共役方程式から同様に定められる半群S_T(t)とS(t)を結びつける第一構造作用素Fが定義され, 基本解を用いて定義される第二構造用素を通じてFS(t)=S^*_T(t)F, S^*(t)F^*=F^*S_T(t)-が成立することが示される. この様にしてもとの方程式の可制御性と共役方程式の可観測性が同値であることが示された. ただしこの種の理論を展開するには拡大された方程式の半群S(t)の生成素のスペクトルが離散的であるか, 又一般化された固有関数が完全であるか等の問題があり, 特殊な場合はそれが示されるが一般な場合ついては今後の研究課題である. 以上の他複数個の凸な物体の外での波動の減衰, 散乱行列の極の分布, 確立微分方程式の近似理論, 量子相対力学のハミルトン作用素の本質的自己共役性等に関する真事実が研究分担者によって明らかにされた.
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