研究概要 |
本計画の主たる観測装置であるプリズム偏光分光計の製作については,検出器系を除いた部分のコンポーネントが,揃って,現在,組み立てつつある. 本器の最も主要な検出器(浜松ホトニクス16素子InSb)が完成していないものの他の周辺部分:冷却部,増巾部,分光部については,所期の性能を出させるメドが付いた. 検出器については,3月下旬に,性能テストが出る予定である. これは,当初,予定していたCEC社のInSb素子から,浜松ホトニクスのハイブリッド型InSb16素子に変更したもので,(1)素子サイズが分光計に適合すること,(2)ヘッドアンプとの一体化構造によって,コンパクト,高信頼度となることの,利点がある. しかし,この変更のために,計画が,遅延することになった. この遅滞にともない,現有の観測装置で,星の生成領域の偏光観測を併行して行なった. その結果,以下のような事実を明らかにした. i)CGAS分光計を用いて,Ice(氷)のサーペイを,双極分子流天体について行ない,その結果,Iceが双極流天体に普遍的に見られるが,一方,Tタウリ星には見られないこと,Iceの吸収の深さは,近赤外の偏光度Pとよい相関をもつこと. ii)Kyoto Polarimeterを使った狭帯域フィルターで,Elias 16,Elias 29,GL 2591,BN天体の偏光観測を行ない,GL2591の除く3つの天体に,3.1μmの吸収に付随する偏光の起過を見いだした. この事実は,Iceが,塵のまわりに,マントルとして附着していることの明白な証拠であろう.
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