研究概要 |
高電力効率のインターデジタル・H(IH)共振構造に収束力の強い高周波四重極電場収束(RFQ)をもたせ両者を組合わせた, 中エネルギー領域の高性能線形加速器(IH-SF又はIHQ型)を開発することが本研究の目的である. IHQ型線形加速器の特性を知るため, 基本モデル空胴を設計, 制作して, その高周波特性を測定し解析した. この結果にもとづき粒子軌道の軸及び垂直方向の解析を計算機コード「L1NOR」を拡張して行った. 東京大学原子核研究所のRFQ型線形加速器TALL(出射エネルギー0.8MeV)の加速テスト装置一式を借用して, 入射器としてTALL自身を使用することに決定し, 陽子を0.8MeVから2MeVまで加速するプロトタイプIHQ型線形加速器を計画しこれを実行した. 2分の1スケールモデルによる高周波電磁場測定, 電磁石シミュレーションによる測定結果にもとづいて軌道計算を行い, 測定結果と合わせてIHQ型線形加速器のデザインを行い, 制作した. 完成した2MeVIHQ型線形加速器の電磁場の測定, RFカップラー, チューナ類の測定, 調整テスト及び空胴のリーク真空テストを行った. 入射器とIHQ型2台の線形加速器のタンデム運転を実現するために, 周期運転用自動周波数制御(AFC)回路, 自動高周波出力制御(AGC)回路及び自動位相制御(APC)回路等を制作し性能テストを行った. 高周波のローパワー及びハイパワーテスト, 冷却テスト後, 加速テスト装置に組み込んだ. 最終組立, 真空排気後, IHQ型線形加速器に25KW入力運転を完了した. 今後加速テスト装置全べてを稼働して, このタイプの加速特性を測定し, 理論計算結果と比較してIHQ型線形加速器の加速性を実証し評価を行う.
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