研究概要 |
昨年度(昭和61年度)はデータ・アクイジション・システムを完成し, さらに実用型プラナー・スパーク・カウンター(以下「PSC」と呼ぶ)を試作した. 今年度は昨年度試作したPSCに以下の改良を加え, 実用型PSCの完成を目指した. 改良点は(1)昨年のアノード半導体ガラスは厚さ3mmであったが, 横方向の位置分解能を良くするために厚さを6mmとしたこと. (2)昨年はアノードおよびカソード共に半導体ガラスでしたが, カソードについてはより安価な真空蒸着ガラスとしたこと. (3)アノードおよびカソードを組込むインナー・ベッセルの構造を改善しプレッシャー・ベッセルへの組込みを簡単にするとともに, アノードとカソード間のギャップ(200μm)を流れるガスの流れを改善した. これ等の改善により実用サイズ(1m)のPSCで(1)時間分解能60psを割る高分解能が得られたこと. (2)位置分解能については, これを精度良く測定するためには狭く絞られた素粒子ビームを必要とするのでいまだ実測されてはいないが, 横方向の信号に関する電荷分割の割合から推定すると約300μmとなり位置精度についても十分な分解能がえられた. 以上今回の科研費補助金により, 1)データ・アクイジション・システムが完成したPSCの開発研究に活用されたこと, 2)高分解能PSCが実用化されたこと, これを実際の素粒子実験に応用することが可能であると判断される.
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