研究概要 |
(1)システム構成:窒素ガスレーザー光(波長337nm)を光量調節し, シンチレータの小片に照射し現実のシンチ光と同一の閃光を得た. この光を35本の光ファイバーに配分し野外の空気シャワー検出器に導入した. 一方レーザー光の一部をPIN型受光半導体に分照し, 光強度, 記録系のトリガー用の信号を得た. 全検出器の一斉較正作業(モニター)はコンピュータ制御により完全に自動的に行われる. (2)光量調節と光分配:2段階の減光フィルター(NDF)の組合わせによって2%の精度で光量を調節した. 各段のNDFは自動回転円盤に取り付けてある. 光分配はコア径200μmの光ファイバー35本を1.3mm径に束ねたコネクター端面に調節光をあてる方式を採用した. 光分配のばらつきは±23%以内に収まっている. (3)検出群への実装:乗鞍岳の野外検出器24台に140mの光ファイバーにより送光した. これにより, 粒子数検器の比例性は1〜10^3粒子に対し±3%の誤差で, 時間オフセット値は±0.2nsの精度で測定できた. 1回のモニター時間は5分である. (4)検出群のモニターの結果:1時間毎, 1日間の高頻度モニターではファースト・タイミング検出器16台中15台は±4%以内の利得変動, ±0.3ns以内の時間オフセット値の変動に収まっていた. 残りの1台は約10時間に渉ってゲインが四分の一に時間オフセット値が±10nsも上昇し, その後正常値に復帰していた. これは今後の重要な資料となった. 一方4か月間の長時間ではすべての検出器が±6%以内の利得の変動, ±1.0ns以内の時間オフセット値の変動が検出され, これらの値も高精度観測の点から大きな変化であり, このモーターシステムの有効性が明らかになった. 本システムは超新星SN1987AからのUHEガンマ線観測器群に取り付けられ既に実用化の段階に入った. さらにチベット計画での実用が可能になった.
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