研究概要 |
ストリッジリングの電子の軌道面の上下に外れた位置から回転偏光を取り出すため, 軌道面の直線偏光部分はTa製のビームトラップで切り捨てる. 此の部分の波長は試料の吸収端に合わせ, その波長より大きい回転偏光X線が抽出するよう発光点を軌道面より上下に±ψだけそれた所から得るように調整されている. ψに応じ六種類のビーム・トラップを準備した. 回転方向の異る各々の偏光した半白色X線(λ【greater than or equal】λ_0, λ_0:吸収端の波長を単色器Si(III)でブラッグ角を変化させ, λ【greater than or similar】0.9λ_0の波長が連続的に得られるようになっている. 且つ上下の各ビームが試料上の同一定点に照射されるよう, 入射ビームを回転軸として単色器の回転により集光される. ブラッグ角を変えたときの位置のズレは入射ビームに平行な方向と垂直方向の平行稼動により調整されるようになっ}sシ w] 回転偏光の利用に関して先ずその偏光波を決定することが優先的に重要である. X線, γ線の場合種々のポラリメーターが開発されているが, 吾々もそれに倣い磁気コンプトン散乱より決定することを試みた. フォトン・ファクトリー(PF)のビームの中心位置の変動は正確に分っていない. 20=90°でのNiのブラッグピークの強度比較から中心位置を決めることを試みた. 併しそれは強度が弱く迅連な対応には不適切であった. PFのビームは高輝度にするため電子ビームを細く絞っており, そのためビーム位置のユラギは大変大きくなっている. 特に上下のビームを利用する場合プッシュ・プルに敏感に影響する. 従ってビーム位置モニターとして中央に陽極, 上下に陰極を設けた敏感なイオンチェンバーを用い, フィードバッグ機構で微細な位置調整機構を検討中である. 偏光度決定のため純鉄試料にヘリシティの異る回転偏光を交互に照射し, 磁気コンプトン散乱の測定を行った. 上記のビームのユラギのため, 再現性のあるデータは得られていない. 上記の改良により測定が満足に遂行されるものと思われる.
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