研究概要 |
1.日本海の地磁気三成分異常について:日本海での地磁気三成分調査は本研究中に3回行った. 東京大学海洋研究所白鳳丸と淡青丸による調査と, DELP傭船若潮丸による調査である. 以前の調査の結果と併せ解析し, 次のような結果を得た. (1)日本海全体の地磁気全磁力異常図の作成と発表:日本海沿岸域は海上保安庁水路部のデータ, ソ連沿岸はソ連より得たデータを用いて日本海全域に亘る全磁力異常のコンター図を作成し, 日本地球電気磁気学会誌上で公開した. これは背弧海盆の地磁気異常図としては世界の中で最も詳しいものの一つであるといえる. (2)日本海盆の地磁気異常縞模様の同定:白鳳丸による日本海盆北東域の地磁気三成分異常の測定とその解析の結果, 以前より知られていた地磁気異常縞模様を確認し, その走向変化の詳細が判明した. 重要な解析結果の一つは日本海盆の海底の磁化の偏角はほぼ南北で, 日本海盆の回転を示唆していないことである. (3)大和海盆に存在する大和海山列の地磁気異常の解析から, 調査した四つの海山のすべての磁化の偏角は南北であり, 日本海盆と同様大和海盆の回転を示唆していない. 2.沖縄トラフの地磁気三成分異常について:沖縄トラフ中部域の伊平尾海凹東部に於ける地磁気三成分異常の解析の結果, 地磁気異常が地形の起伏と正帯磁で説明できることから, この地形がこの数十万年の間の貫入岩体によるものと結論した. 3.海底磁力計による調査について:独自の切り離し部を開発し, 四国沖に海底磁力計を設置し, 音響切り離しによって回収されシステム全体が正常に働くことを確認した.
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