研究概要 |
郡山盆地と太平洋沿岸の常磐地域に発達する上部新生界について磁気層位学的研究を行った結果,両地域の新第三系のいくつかの層準について年代層位学的位置づけを明確にすることができたので,以下に概要を述べる. 1.郡山地域 郡山盆地西方の脊梁地域に発達する新第三系のうち,海成層である堀口層について古地磁気層序と微化石層序の検討を行い,以下の知見を得た. (1)堀口層は古地磁気極性の変化により,上位からKOーA,ーB,ーC,ーD,ーEの5つの磁極帯に区分される. このうち,KOーB帯は正帯磁が,KOーC帯とーE帯は逆帯磁が優勢であるが,その他の磁極帯は正逆が混合している. (2)18層準から採取した試料について浮遊性有孔虫の検討を行った結果,Blow(1969)のN9〜N12の時期のものであることがわかった. (3)上記の検討結果から,堀口層の各磁極帯は古地磁気極性編年における第IS磁極期(Chron15)から第14磁極期(Chron14)の初期に対比されることが判明した. したがって,同層の地質時代は中期中新世ということになり,これは従来考えられていた時代より古く,脊梁山脈地域の構造発達史を考える上で重要な資料となる. 2.常磐地域 常磐地域北部に分布する多賀層群の富岡層・広野層について古地磁気層序を確立し,既に検討が行われている微化石層序との対応を検討した. その結果,富岡層と広野層を合わせた多賀層群は11の磁極帯に区分され,各磁極帯を微化石層序にもとづき古地磁気極性編年と対比した結果,ギルバート期後半からガウス期全体に対比されることがわかった. また,岩相層序区分の富岡・広野層の境界は,ガウス期のカエナ亜期をはさんで時間面と大きく斜交することが判明した.
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