研究概要 |
接合面積10^<-6>μm^2[(10A2F2)^2]でキャンウパシタンスCが10^<-17>Fより小さいトンネル接合を実現可能な非接触のトンネル装置を製作して, 荷電粒子トンネルによる室温での超高周波発振の可能性を明らかにするため以下の研究を行っった. 1.空気中で走査もできる非接触のトンネル装置(走査型トンネル顕微鏡:STM)による実験を行った結果, 以下の知見が得られた. (1)空気中では, 温度揺らぎや酸素や水分, ゴミの電極表面への吸着が起こりトンネル抵抗が不安定になったり, トンネルの電流・電圧特性にヒステリシスや応答遅れがでることが明らかになった. (2)絶縁体に薄い金属薄膜を蒸着した試料で, グレインに電子がチャージアップ(荷電粒子が溜まる現象)してトンネル電圧が不安定になる現象を見いだした. (3)表面に薄い酸化膜が出来た金属板の酸化膜の上に担持した貴金属超微粒子のSTM像を測定した結果, トンネル電流を針と試料の間に流すと貴金属超微粒子がチャージアップして, 超微粒子間に引力が働き超微粒子が凝集することを見いだした. また, 針とチャージアップした超微粒子の間には静電的反発力が働くことも見いだした. (4)針状結晶を電極に使用することにより, 簡単にキャパシタンスCを非常に小さく出来る可能性があることを見いだした. また, STM像の測定により, この針状結晶は探針よりも鋭い先端曲率を持っていることも明らかにした. 2.試料表面を清浄化できるトンネル実験用超高真空排気システムと超高周波発振の温度条件を緩和できる低温トンネルシステムを製作して, トンネルの実験を行った.
|