研究概要 |
本年度の研究計画は予定どうり実行され研究発表欄に記したように, 各方面で十分議論され満足のいく成果が得られた. 電気鉄板すなわち珪素鉄合金は, エネルギーの見地からその特性向上が最も急がれている. この向上を阻むものは磁気異方性と磁歪である. 申請者は珪素鉄板の特性を一段と向上すべく高珪素鉄薄帯の研究に専念し, その過程で次の極めて重要な処理方法すなわち, 絶対不変とされていた珪素鉄の磁気異方性定数を低減させる処理法を明確にすることに努力を傾注した. この磁気異方性を減少させる処理を適用することが出来れば, 電気鉄板業界の技術を一新させることができるので, 極めて重要な意義をもつと考えている. 磁気異方性の低減をはかる目的で, 珪素を1.5〜7.5%含む合金に第3元素としてTi,Sn,等をそれぞれ添加し, 原料のインゴットを作ってこれらの, 飽和磁気, 比熱などの特性を研究した. さらに単結晶を育成するにあたり, 結晶内部に欠陥の無いものを得るための結晶成長速度を制御し, これらの単結晶を油中に急速冷却させるときの雰囲気が結晶面にあたえる関係を明らかにした. このとき第3元素の添加量はそれぞれ0〜2.0%とし, 前年度で特に興味ある成分の単結晶を複数育成した. 上記の組成のインゴットを原料として急冷薄帯を作り, 熱処理を行ない, このようにして得た薄帯の鉄損測定および磁気異方性定数測定を行なった結果, 鉄損の減少, 磁気異方性定数の減少という極めて重要な成果が得られた
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