研究概要 |
宇宙空間で人工衛生などの姿勢制御・輸送には, 現在化学ロケットが主として用いられているが, それに代わる新しい電気推進機"アークジェット推進機を開発するための基礎試料を得た. この推進機は化学ロケットに比して, 比推力が大きいので, 衛生の長寿命化・大型化に帯することができる. 本研究では水冷式アークジェット, 可視化用二次元アークジェット, 輻射冷却式アークジェットの3種類を試作・実験し, 推進性能, 始動方法, 全体のエネルギバランス, ノズル内流れの解析および放電機構の解明などに注目し, 新しい知見を得た. 推進剤はヒドラジンガスジェットとの共用を考え, N_2, H_2, N_2+2H_2(混合ガス)を用いた. また, 電気入力は1990年代に宇宙空間で推進機に供給可能な値としては数KWであるので, できる限り小電力(0.5〜1.5KW), 低流量(20〜40mg/s)で安定に作動できる推進機の開発を目ざした. 得られた主な結果は次の通りである. 1.電極損耗は推進機の始動時に主として発生する. これ防ぐ新しい始動方として, ダブルパルス法が提案された. 2.始動方法の改善により, コンストリフタ径を1mmまで縮小することができ, 入力1.2kWで比推力494秒, 推進高率31.4%, 推力145mNを達成することができた. 3.エネルギバランスの測定結果は陰極の加熱量は入力の約8%で, 推進剤により回収された, 推進剤の加熱には入力の85%(アーク効率)が用いられる. 4.凍結流損失は入力の40%以上と推定されるが, それを回収する方法としてはノズル開角を小作すればよい. 性能と安定性の両方に適した開角は40゜位である.
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