研究概要 |
1)統計的疲労試験機性能検定;前年度において統計的疲労試験を目的とした5段試験機の骨組を完成していたが, 今年度はその最終調整を後った後, 基本的あ性能検査を行った. 周波数特性は幅広いき裂長にわたって安点しており, 0〜20Hzの間でゲイン, 位相ともにフラットであることが確認された. また長時間使用時における平均値のドリフトもわずかであり, 疲労実験逐行上の問題点がないことが確認された. 合わせて荷重制御, データ処理を効率良く行うためのマルチタスク・リアルタイムシステムをパソコン上に開発した. 2)統計的疲労試験予備実験の実施;統計的疲労試験を実施するにあたっては, き裂長をコンプライアンス法にて自動測定する際の測定精度, ランダム荷重の疲労き裂進展に与える影響などを自前に検討しておく必要がある. 単独試験片についてこれらのチェックを行ったところ, き裂長の測定精度は目視によるものと同程度であることが確認され, また荷重の統計因子と疲労き裂進展挙動の特性が関係づけられた. 多段式試験機によりさらにデータを蓄積中である. 3)信頼性工学への応用手法の確立;実験的にデータを収集することと平行して, 計算機シミェレーションによって信頼性工学的な検討を行った. 疲労き裂進展特性のばらつき, あるいは表面き裂の初期き裂形状が最終的な破壊確率に及ぼす影響を明かにした. 4)従来データの見直し;従来, 疲労き裂進展について収集されたデータは, 専ら確定論に基づくものであり, 統計的ばらつきの知見を得る目的には不十分なものである. このため, データの収集, 整理法などに内在するばらつきの要因を材料の本来のばらつきと分離して検討することを試み, 各要因の全体のばらつきへの寄与を別途検討した.
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