研究概要 |
この研究の目的は, 圧縮機やタービンの翼列, ノズル, ディフューザを通る衝撃波を伴う遷音速流れの解析にてきする高精度高効率のアルゴリズムとそのプログラムを開発することである. 筆者らは, この研究を始める前に, 二次元圧縮系オイラー方程式の一つの陰的時間進行差分法を提案した. この方法は, 一般曲線座標格子に対して反変速度成分の運動方程式を解くことに特徴があり, これによって, すべりのある固定壁境界条件の取扱いが陰解法でも正確で容易になった. 1.陽的部分の計算改善. はじめ4次人工散逸項の付加されたいくつかの上流差分スキームが用いられたが, 後に, Chakravarthy-OsherのTVDスキームに変更された. 膨張衝撃波の発生を完全に除くことが課題である. 2.スーパーコンピューターによる計算のベクトル化率の向上. 陰解法においても99%のベクトル化率が達成された. 3.オイラーコードの三次元への拡張. 三次元ノズル流れと軸流圧縮機の動翼を通る流れの計算のプログラムが作られた. 反変速度の運動方程式の使用は周期性条件の取扱いを容易にする. 4.ナビエ・ストークス(NS)コードの開発. オイラーコードに粘性と熱伝導の項を考慮してNSコードを開発した. また乱流の計算には, 2方程式k-E乱流モデルを壁法則とともに用した. 二次元と三次元の遷音速翼列流れのプログラムが作られた. 5.非圧縮NSコードの開発. 一般曲線座標格子に適用できる, 時間分離形MAC法から派生させたいくつかのスキームを作り, 比較検討した. 反変速度の運動方程式を用いる方法がすぐれている.
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