研究概要 |
軸受内の流路を平面に展開すれば, 軸の偏心のためすきまから正弦状に変わる流路となる. ゆえにこのような流路内の乱流構造を明らかにすることが乱流潤滑の解明に不可欠となる. 初めに平行平板間クエット流の実験を行い, 従来の研究結果と比較し, 乱流特性を明らかにした. その結果次のことが分かった. レイノルズ数R2hUb/ν(2h:平板間距離, Ub:ベルト速度)が5×10^3で流れは遷移域, 7×10^3以上で乱流である. 乱流域での速度分布は壁領域でTelbany&Reynoldsが得た普通則U^+=2.5lny^++5.1に一致する. 又欠損則(Uc-U)/uk=Rf(1-y/h)の係数RfはReに依存する. 乱れ強さ√<u′^2^^->の分布はRobertsonらより幾分大きい値となる. つぎに波状壁間の乱流について, 流路中央面における壁面圧力分布, 速度分布, 乱流特性Re=5, 7, 8×10^3で測定した. 圧力は下流方向に正弦状に分布し又流速も変わるので流れは繰返し圧力勾配と慣性力の影響をうける. 速度分布は壁領域で対数則分布がクエット流の場合より上方に移動し, その移動量△u^+はx/l(x:最小すきまからの距離, l:波状壁の一波長)に依存する. この移動の理由は, 内層における混合距離をl^+=ky^+{1-exp(-τ^<+1/2>y^+/A^+)}とおいた場合のカルマン定数κとvan Drientの減衰係数A^+が圧力勾配と慣性力の影響で変わるためである. 対数則の外側にはU/u*=K1(αy/u*^2)^<1/2>+K_2 (α=1/ρ dp/dx)で表わされる1/2乗則の領域があり, 外層では速度欠損則が成立する. これら速度分布式中に表われる係数はx/lで変化し, いずれも一定圧力勾配下の流れのものとは異っている. この理由を調べるため, , せん断応力・レイノルズ応力分布を測定した結果, 流れに及ぼす慣性力の影響, 特に二次流れに基ずく慣性力が非常に大きいことが分った. また乱れ強さ√<u′^2^^->, √<v′^2^^->の分布もクエット流の場合と異なっており, δp/δx<oの領域ではδp/δx>oの場合に較らべ値が低く, 断面全体に平坦に分布している.
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