研究概要 |
多数本の伝熱管を水平に配列し, 管の内側に冷却水を流し, 外側表面で熱気を凝縮させる方式の凝縮装置において, 滴状凝縮を維持することが可能になった場合を想定し, 上段の管群から落下してくる凝縮液によって, 下段の伝熱管の性能にどのような影響が現れるかを明らかにする目的で実験を行った. ただし, 本研究者らの実験室のボイラでは, 多段管群における凝縮実験を行うに十分な量の水蒸気を発生させることはできず, また予算上新規の設備を追加することも困難であったので, 熱水滴下管を用いて上段管群を模擬することとした. 実験は次の手段で行った. (1)単一水平円管外表面上での水蒸気の滴状凝縮伝熱の実験を行ない, 凝縮面過冷度と凝縮量・凝縮熱伝達率の関係を明らかにする. (2)高速ビデオ, 高速カメラにより液滴の挙動を観察・記録する. (3)上の(1), (2)の結果により熱水滴下管を設計・製作しテストする. (4)同一鉛直面内に2本の水平円管を配置し, その表面上で滴状凝縮を起こさせた場合に, 上段管からの落下凝縮液によって下段管の伝熱特性がどのように変わるかを測定する. (5)上段管を熱水滴下管に置き変えて上と同じ測定を行ない, その有効性を確認する. (6)同じ方法を多段実験に拡張適用する. 実験の結果, 次のような結論を得た. (a)熱水滴下管の使用により管群の模擬実験が十分可能であることを確認した. (b)滴状凝縮の場合は, 第10段目程度までは伝熱性能の劣化が生じないことを確認した. なお, 滴状凝縮の長時間維持法および伝熱促進法についても実験を行った.
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