| 研究概要 |
超高圧ポンプにおいて効率を上げるためにポンプ用非接触シールの間隙を小さくすると, それが原因でロータの不安定振動が発生する. 本研究ではポンプ用非接触シールによって発生する流体力の解析とそれに起因するロータの不安定振動の解析を行い, 最適なシール開発に役立つために次の研究を行った. 非接触シールにより発生する流体力測定用実験装置を作り, シール中を流れる流体の円周および軸方向成分が不安定力となる機構を実験的に解明した. すなわちシールの非定常流体力測定装置を製作し, それを用いてシールによって発生する流体をシール内の流連分布と圧力分布をあらかじめセットされたホワール振幅と関連させて測定し, 圧力分布から不安定力を求め位相差の変化について調べた. 次にポンプ用非接触シールによって生ずる不安定力を理論的にもとめ, 実験と合うような数学モデルを作り設計に役立つようにした. すなわちシール中を流れる流体の周方向と軸方向流れを考慮したシール内流れの方程式を導き, それを解析し, 実験結果との比較を行った.
その結果次の事が明らかになった. (1)流体力はロータの偏心量の増加とともに大きくなるが, シールすきまの増加につれて小さくなる.
(2)入口旋回流速度はロータ系に大きな影響を及ぼす. 正の旋回流速度はロータ系に不安定, 負の旋回流速度はロータ系に安定を与える.
(3)軸回転速度の増加とともに接線方向の流体力Ftは大きくなり, ロータ系に不安定な影響を及ぼす.
(4)軸方向流速度はロータ系に安定な影響を与える. この影響は半径方向の流体力Frで表される.
(5)入口旋回流速度による影響に関しては, 付加質量係数, 減衰係数に比べ, 剛性係数Kxx, Kxyは影響を受けやすい.
(6)以上得られた実験結果と無限小幅理論の結果は同じ傾向にある. しかし定量的にはこれらの結果はかなり違っている.
|
