研究概要 |
水を満たした密閉シュラウド内で回転する一枚ディスク(一重ディスク系)と二枚ディスク(二重ディスク系)の振動の振幅とシュラウド壁圧力変動を, ディスクの回転数を変えて測定し, その平均値, RMS, 位相差, PSDなどを求めるとともに, ディスク振動の可視化実験の結果から以下の成果が得られた. 一重ディスク系ではある回転数までは, ディスクの初期変形のみしか観測されないが, その回転数を越すと, ディスクの直径上の二端点に対し逆相の振動, すなわち, 1直径節モードの振動を発生し, 回転数とともにその振幅は増大する. 回転数の上昇時と下降時で, ディスクの振動には2つのヒステリシス特性が発生する. 一重ディスクは回転数の増大と伴ない, 静的変形, すなわち0直径節のバックリングモードの変形を発生する. ヒステリシス特性は, 振動の卓越振動数, ディスクの静的変形量にも発現する. 二重ディスク系では, ディスク中央固定部に, ディスク間の流体圧がシュラウド側流体と共通にする慣通孔のある場合と無い場合について実験を実施した. 慣通孔の無い場合は, ディスク振動振幅のRMS値, 静的変形量の回転数依存性に1ヶのヒステリシス特性が発現する以外は, 慣通孔のある場合とその振動特性がよく類似している. 慣通孔のある二重ディスク系では, ある回転数から1直径節逆相モードの振動が成長し, 二枚ディスク周端が接触するまで増大する. さらに回転数を上昇させると, 二枚ディスクは, 1体となって振動をし, その振動数は前者のものと異なる. 二枚のディスクは0直径節のバックリングモードの静的変形も発現し, その量は回転数とともに増大する. 以上の振動特性は極めて複雑であるので, 一重ディスク系において, シュラウドーディスク間隔をパラメータにして実験を続け, 流れの可視化と合せて, 回転ディスクの流体関連不安定の振動の発生機構を明らかにすることが今後の課題である.
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