研究概要 |
超電導発電機は底リアクタンス機のため電力系統の安全度を向上させる. 更に, 速応励磁が可能となれば電力系統の安全度が大幅に向上する. 速応励磁を可能とさせるには, 超電導発電機本体の設計上の問題点以外にその励磁電源にも問題点がある. それは, 超電導発電機の界磁回路の時定数が大きいため, 励磁電源が高電圧大電流源となることである. 現有のサイリスタ励磁方式を採用すると, 電源が大容量となるばかりでなく, 無効電力の問題や電流高調波の問題が生じる. そこで, 超電導コイルのエネルギー転送装置を用いた励磁電源を提案し, 設計製作し, その基本特性実験を行った. この励磁電源は, 小型サイリスタ電源と貯蔵用の超電導コイルとエネルギー転送回路からなる. 転送回路には, もっとも基本的なフライングキャパシタ回路を用いた. 電源より超電導コイルにエネルギーを貯え, それを超電導発電機の界磁巻線に転送する. 定常時には, 電源からは損失を補う程度のエネルギーを供給し, 速応励磁時には, 貯蔵コイルよりエネルギーを転送する. このことにより, 電源は小型であるが, 超電導発電機界磁巻線からは, 大電源と見なすことができる. また, 貯蔵コイルの電流は, 界磁電流より小さくて済む. つまり電流増幅作用がある. 超電導発電機の界磁巻線を超電導コイルで模擬した基本特性実験(貯蔵コイル立ち上げ試験, エネルギー転送試験, ステップ応答試験, 周波数応答試験, 停止試験, )の結果, この装置は基本的に所望の働き(小型電源で界磁コイルには大電流が流せること. )をすることが確かめられた. 転送速度, 電源とコイルの最適な制御, 最適設計などが今後の課題として残った. また, 速応励磁時の超電導発電機界磁回路特性, 超電導発電機の電力系統における特性についても併せて検討を行った. 界磁回路特性は, 常温ダンパーの導電率に大きく依存する. 電力系統特性は計算結果とよく一致することが確認できた.
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