研究概要 |
高電圧・大電流インパルス測定技術の向上を目的として研究を行い, 以下の成果を得た. 1.インパルス測定系の校正用として, 高精度基準インパルス発生器を試作した. その発生精度は波高値で±0.3%以下であった. 2.正弦波, 直線上昇波, さい断波インパルスを用いてデジタル計測器の動的特性ついて検討を行ない, 量子化誤差と波形上昇率, 周波数などの関係を明らかにした. 3.標準インパルス電圧(波頭長1.2μs, 波尾長50μs)を規格に定められた精度で測定するためには, 8ビット, サンプリングレート40/μs以上の高速デジタイザーが必要であることを, 実験ならびにシュミレーションにより示した. 4.数値ラプラス変換法を用いたインパルス測定系の測定誤差補正について検討を行い, その補正精度と問題点を明らかとした. 数値ラプラス変換法を適用する場合には, 測定系の応答波形および出力波形の読み取り誤差が補正結果に大きく影響することを明らかとした. 5.測定系の誤差補正対策として, 抵抗分圧器に側路容量を設ける方法, 低圧部に誘導抵抗を用いる方法, および両者を併用する方法を提案した. とくに併用する方法により分圧器の性能を約3倍向上しうることを示した. 6.電解液抵抗分圧器の測定精度向上について検討を行ない, その抵抗温度係数と補正法, 温度上昇よりみたインパルス電圧測定限界値, 表皮効果などを明らかとした. さらに電解液は誘電率が極めて大きい(約80)ので, これを利用した新形の電解液抵抗容量分圧器を開発した.
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