研究概要 |
1.GaAs基板に格子整合する混晶ZnSxSe1-xの高品質化 成長条件として基板温度とVI族(S+Se)とII族(Zn)原料の分子線強度比(JVI/JII比)を変化させた. その結果, 基板温度〜340゜C, JVI/JII比〜2.0においてフォトミネッセンスの自由励起子発光強度が最大になり, その半値巾は最小となって高品質の成長層を得ることができた. この発光強度はZnSeのそれより強く, 混晶膜の結晶性が向上していることが解った. このJVI/JII〜2.0の条件は成長面でVI族CII族の表面被覆率が等しくなる条件であることが解った. 従来問題となっていたドナ不純物は高純度SeやZnS原料の使用により非常に少なくなった. 以上のような高品質, 高純度のUndoped混晶膜を成長させる条件が確立した. 2.高品質Z_nS_xSe_<1-x>への窒素ドーピイグ NH_3を用いた窒素ドーピング膜をフォトルネッセンスによりくわしく評価した. その結果, ZnSeでは励起子発光において中性アクセプタに束縛された励起子発光(I<S(1)1>)がメイン発光となり, Haynes'ruleからアクセプタ準位Ea=110meVを得た. またFA発光エネルギーの測定からも同じ値を得た. ZnSxSe_<1-x>でもI<S(1)1>が観測されたがメイン発光とはならなかった. FA発光エネルギーからEaを求めると〜117meVとなった. 60KにおけるFA発光強度のNH_3ドーピング量依存性を測定すると, ドーピングの増加と共にFA発光強度が比較的に増加することがわかった. クラッキング・セルを用いドーピング高率の向上を目指した. クラッキング温度が300゜C付近でドープ量の若干の増加がみられたが, 飛躍的に高率を向上させることは出来なかった. 窒素ドープしたX_nS_xSe_<1-x>の表面モフォロジーや結晶性はUndoped膜と同時に良好で, ドーピングによる悪化はみられなかった.
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