研究概要 |
超LSIのゲートおよびオーミック電極材料としてシリサイドやメタルが用いられる. 本研究ではMOSLSIの自己整合ゲートプロセス, 低抵抗オーミック電極形成に必要なシリサイド及びメタルへ膜へのイオン注入に関する実験を行い, 下記の基礎的なデータを新たに提供した. これらデータは半導体, 特にダイナミックラムなどの超LSIの作製プロセスとして広く用いられる. 1) 4および16メガビットダイナミックラムで用いられる, ノンストイキオメトリ(シリコンリッチ)CVDタングステンシリサイド膜へのイオン注入に関する研究を行い, 注入された不純物の膜中のプロファイルを理論的および実験的に求め, 投影飛程, 標準偏差を算出した. 実測不純物プロファイルは理論値と良い一致を示し, シリサイド膜のシリコン組成により異なった不純物のプロファイルが得られることを報告した. 堆積時とアニール後の膜に注入したこのプロファイルの違いに関する詳細な研究を行った. 2) このCVDノンストイキオメトリシリサイド膜は堆積時はアモルファスであるがアニールにより粒界が成長, 膜中の過剰シリコンが界面に析出し組成変化が生じると共に, 膜中に多量に含まれているF不純物と注入された不純物の析出が粒界を通じて急速に生じ, その様相は大変複雑である. 本研究ではこれらの詳細について実験を行い, 下地材料の違いによる過剰シリコン, 不純物の析出の差異を見出し, その原因について調べた. 3) CVDタングステン膜へイオン注入された不純物のプロファイルについて明らかにした. スパッタ膜で生じるイオン注入時の異常プロファイルテーリングは柱状結晶構造を有するタングステンの粒界を通じ不純物が通過するために生じ, 良質なCVDタングステン膜を用いることによりこの問題を解決できることを見出だした. これらの基礎データは4および16メガビットダイナミックラムで用いる選択CVDタングステン成長とオーミック電極形成プロセスで重要で工業的に価値がある. 4) これらのプロファイルを制御する上で, 一度結晶化した膜にイオン注入を行い, アモルファス化し, 再度粒界寸法を小さく結晶化し, 再びイオン注入を行う方法を提案した. これらの解析, 結晶化の詳細は購入したX線回折装置を用い行った. またシンニング装置を用いシリサイドとタングステン膜の粒界成長の詳細を透過形電子顕微鏡を用い調べた.
|