研究概要 |
本研究ではネットワーク上に点在する計算機やプリンタ・ファイルサーバーを始めとする様々な資源を組み合わせたネットワークアプリケーション構築のための基本的な機能を提供するネットワークOSを開発することを目標とする. このため, オブジェクト指向を取り入れたネットワークOS, ONEを開発中であると共に, ネットワークOSに必要な負荷分散機能などについての理論的研究を行なっている. 本年度は分散処理システム上のアプリケーションとして, 分散処理システム上の教育支援のための環境ASCENTの通信ツール群を作成した. このツール群を実装することにより, 本研究のOS開発のための分散型アプリケーション構築のノウハウを蓄積することができた. また, ASCENTでは新たにLAN上にグループブロードキャストプロトコルを実現した. このプロトコルを拡張したものをONEでも用いている. ONEの開発は現在インスタンス, クラス等オブジェクト指向における基本的概念のネットワークへの展開がほぼ終了している. 本年度はグループロードキァスト機構を取り込んだ. これによって, 複数のオブジェクトに同時に同じ処理を依頼することができ, 並列性の記述が可能となる. しかも, NetCollectionというブロードキァストのためのクラスを新たに導入することにより, 利用者に並列性を意識させないで記述させることができた. また, ブロック実行やインヘリタンス等オブジェクト指向における基本的機能を実現した. これらの基本的機能の実現に際しても, 利用者にできるだけ並列性を意識させず, システムとしては並列性が実現できるよう留意した. ONEのプロトタイプはほぼ完成し, 今後は作成したネットワークアプリケーションをONE上に移植し, ONEのさらなる機能充実を計る予定である.
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