| 研究概要 |
本研究の目的は, レーザー加速器の候補のひとつである逆スミス・パーセル(ISP)効果を, サブミリ波領域で実験的に検証し, 次期世代加速器設計のための基礎的データを得ることである. 以下に本研究で得た成果について述べる.
1.理論解析
ISP効果のサブミリ波領域での電磁界の解析を行い, 電子とレーザー光との相互作用が最大となる金属回析格子(くしの歯断面)の格子定数を, 種々のレーザー波長に対し決定した. 更に, ISP効果の計算機シミュレーションを実験情況に近い条件で行い, 波長496μm, ピーク出力1Wのサブミリ波レーザーを用いて, 電子に10eV以上のエネルギー変化を与えることができることを明らかにした.
2.実験装置
1)回析格子の製作:理論的に設計された値を基に, 種々のレーザー波長に合わせて±2μmの精度で金属回析格子(銅またはアルミ合金製)の製作を完了した.
2)高出力サブミリ波レーザー(波長496μm)の製作:サブミリ波レーザー励起用CO_2レーザーとして, 新しい方式であるメカニカルチョッパー方式EQスイッチ法の研究開発を行った. このCO_2レーザーを励起光源として使用することによって, ピーク出力46W, 最大繰り返し周波数9.2kHzの安定なパルス出力を持つCH_3F2ガスレーザーを製作した.
3.ISP効果の実験
1)ISP効果の実験的検証を世界に先駆けて成功した.
2)ISP効果の種々の特性を詳細に測定し, その結果, 理論結果と良く一致することを確認した.
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