研究概要 |
ミリ波帯における光変調実験に成功した. LiNbo3光導波路を用い, 新たに考案した共振形電極構成を適用して光変調素子を試作し, 33〜40GHz帯における動作を実証した. 0.63μm光を用いた位相変調実験の結果, 中心周波数35.3GHzにおいて変調入力電力220mWに対して1radの位相変調が得られ, またその際の3dB帯域幅は5GHzであった. さらに, 37.7GHzにおいて変調電力1Wを入力したところ, 1.5radにもおよぶ位相変調が得られた. ミリ波帯におけるこのように実際的な光変調実験は, これまで他に例がないと考えられる. 本研究の成果は大きくて2つに分けることができる. 第1は〔1〕ミリ波領域において初めて実際的な光変調実験に成功した点である. これに劣らず重要な第2の成果は, 〔2〕超高周波域における光変調に関して, 帯域形光変調動作の重要性に着眼し有効性を示すことができた点にある. 具体的には, 新たに導波形帯域変調用として共振形電極およびフィルタ形電極を考案し, それらを用いた2種の帯域光変調素子構成法を提案して特性を解析し, 実際に設計・試作・動作実験を行って, 基礎的な変調特性を明らかにした. その成果をもとにさらに工夫を重ね, 素子構成法の改善を図ったことが, 今回のミリ波帯光変調の成功に結びついたと云える. これまで, 導波形光変調器による帯域光変調は, 1〜2の例を除いてほとんど研究はなされていない. このように, 本研究では超高周波帯における能率よい光変調素子の新しい構成法・設計法が明らかにされると共に, ミリ波帯における光変調動作を実験的に確かめることができた. 当初の研究目的はほぼ達成されたと云える. 今後さらに研究を継続し, 40GHz帯における各種光機能デバイスを実現し光システムへの適用を図る. さらに超高周波域における光変調の可能性を考究するなどが重要である.
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