研究概要 |
1.カーボン,アラミド,ガラス繊維のモノフイラメントを樹脂中に埋め込んだ試験片の4点曲げ試験を行い,AEの振幅および周波数分析を行った. この結果,カーボン,ガラス繊維破断時のAE振幅は65dB程度であるが,アラミド繊維は単純な破断様相を示さないので,振幅が明瞭でないこと,繊維破断時のAE振幅は繊維の歪エネルギと相関関係があることが示された. これに対して,AE周波数分布には繊維による差異はほとんど認められないことが明らかにされた. 2.非繊維破壊モードとして,層間剪断,白化,剥離発生時のAE解析により,これらのAE振幅はいずれも55dB程度で,繊維破断時に比して小さく,またAE周波数分布は,繊維破断,白化,剥離,層間剪断の順に高周波数成分が少なくなっていくことが認められた. また,これらの非繊維破断モードのAEは,繊維による差異がほとんどないことが示された. 3.以上の結果により,AE振幅と周波数分布を同時に評価することにより,ハイブリッド複合材料の破壊機構の相違を推定できる可能性が示された. AEスペクトラム・パラメータとしては,あるマグニチュード(例えば 0.01程度)を超える最大周波数をとることが考えられる. このため,このパラメータと破壊機構との相関性をさらに検討し,前年度の結果と合せて,評価システムとしてまとめる予定である.
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