研究概要 |
昭和61年度は, プロペラ上方における変動圧力分布の特性解析問題と, 船体まわりの自由表面流に及ぼす境界層と伴流の影響について研究した. 前者においては, プロペラ周囲の圧力場の一般解を求めて従来の解との関係について考察し, ついで, 渦格子揚力面モデルを用いた計算法によって揚力効果の特性と翼厚効果の特性について解析し, 5翼プロペラの計算例と実験によって非対称性が現われたり圧力変動の最大値がチップ直上より前方にずれることを見出した. 後者については, 粘性による総圧損失を考慮した自由表面条件式を用い, ポテンシャル流としての自由表面流の解法にはランキン・ソース法を用いて, 粘性影響を考慮した自由表面計算を行うプログラムを開発した. ウィグレイ模型に関する計算例によって, 船側波形や圧力分布は実験とよく合うが, 抵抗については実験値との一致が少し劣ることを示した. 昭和62年度は, プロペラ後流のレーザードップラー流速計による流場計測と, プロペラと舵との干渉に関する理論的解析と実験的研究を行った. レーザードップラー流速計システムを整備し, それを用いた流速測定法のオウハウを修復するために, プロペラ後流の流速測定を行った結果, 回転流成分が小さいためシーディングを行う必要のあること, プロペラ直後固定翼がプロペラ後流中の回転流エネルギーを回収するのに有効であること, を験証することができた. プロペラと舵との干渉問題については, 渦格子モデルを用いた理論計算としレーザードップラー流速計による舵まわりの流場計測を行って, 舵の影響によってプロペラ効率が少し向上すること, プロペラのスラスト及びトルクが7〜14%も舵の影響によって変動すること, プロペラ後流中の回転流成分は舵によってほとんどおさえられて整流される効果があること, 等の結果を得ることができた.
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