| 研究概要 |
大型海洋構造物の長周期動揺の推定精度を向上させるために, 構造物に働く粘性減衰力と係留鎖の運動に及ぼす影響を調べた. 粘性減衰力の研究の為には, テンションレグプラットホームの断面模型を用いて, 波浪中での強制動揺実験や長周期と短周期の2成分同時強制動揺実験を行った. また係留鎖の影響を調べるために半潜水海洋構造物を係留鎖でカテナリー係留した場合とコイルスプリングで係留した場合の不規則波中での運動の比較を行った. これらの実験的な研究の結果次のような結論を得た.
1)短周期の運動や規則波と長周期運動が併存する場合の長周期動揺に対する粘性抗力係数の長周期運動単独の場合の抗力係数に比べての増加の割合はReduced Velocity Urが小さい間はUrに依存するが, Urが2よりも大きい範囲ではほヾ一定と考えてよい.
2)一様流中での短周期動揺試験や規則波中を一定速度で前進する場合に得られる抗力の定常成分から求めた抗力係数のUrに対する傾向は長周期短周期合成試験や規則波中での長周期動揺試験で得られた抗力係数の傾向とよく似ている.
3)係留鎖に働く流体力による長周期動揺への減衰効果は海洋構造物本体に働く減衰力とほヾ同程度の大きさである.
4)係留鎖の持つ減衰効果は左右揺に対して顕著であり, 上下揺, 横揺に対しては, ほとんど影響を及ぼさない. また運動の低周波数帯で大きな効果がある.
以上の成果を基にして, 今後は理論的な推定法の研究を続ける必要があると考えられる.
|
