研究概要 |
地震時の安全性のほかに, 地震被災後の構造物の供用性能の確保を基本とした耐震設計方法は, 本研究代表者の提案であって, 昭和61年制定の土木学会のコンクリート標準示方書の中に採用されている. 本研究はこの設計方法の有効性の確認と一層の発展とを図ろうとするものである. 本研究ではまずパーソナルコンピュータを用いるオンラインの準動的載荷実験のシステムを開発した. 次にこれを用いて鉄筋コンクリート柱および鉄筋コンクリートラーメンの地震時挙動を実地震波を用いて求めた. また, 弾塑性解析プログラムを作成し解析的に地震応答を求め実験値と比較検証した. 中でも軸力の変動する鉄筋コンクリート柱の解析プログラムは今までにないものである. 一方, 静的正員繰返し載荷実験の結果, 鉄筋コンクリート柱供試体は降伏変位1δyの正員載荷に対して極めて健全であり, 2δyの変位の場合でも軽微な損傷で済むことが確認された. また, 4δyの変位の正員繰返しを受けても部村の劣化はそれ程顕著でなかった. ただし, 5δy以上の変位の場合には劣化の進行が顕著であった. この結果からコンクリート標準示方書の中で規定した被災の程度の評価方法の妥当性が確認された. 準動的載荷実験によってあらかじめ設定した4段階の被災の程度と最大応答変位の関係を求めた結果, 実験値は極めて満足な結果を示した. 解析値も実験値とほぼ一改し, 設計方法と解析方法の妥当性が明らかとなった. 鉄筋コンクリート沈埋トンネルの耐震性に関して, 可撓性接合部を有する構造の耐震性の検討を実験と解析とによって行なった. この結果, ゴムと高張力鋼材の組合せで厚生する可撓性の連結部は沈埋トンネルに発生する地震力を相当に低減できることが示された. また, パラメトリックな解析により可撓性接合部を有する鉄筋コンクリート沈埋トンネルの合理的な設計方法を提案することができた.
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