研究概要 |
砂地盤の強度・変形特性を適切に評価し, その安定性と挙動を把握することを目的とした研究を行った. まず砂地盤は, 生得異方性および誘導異方性を有する材料であるとの前提に立ち, これらの因子が砂のせん断特性に及ぼす影響を実験的に研究した. 異方的初期構造を有する供試体について中空円筒ねじりせん断試験を行った結果, 本実験の範囲で以下のような事実が明らかにされた. 1) せん断破壊強度は, 誘導異方性の影響を受けない. しかし, 生得異方性の強い影響を受け, 砂の堆積面に垂直な方向と, せん断時の主応力方向のなす角とをαとすると, 2α=±150°で最小値を示す. 2) せん断変形挙動および体積変化挙動には共に顕著な生得異方構造の影響が認められ, 主応力軸方向が2α=±150°の時にせん断剛性が最小になる. 3) 誘導異方性の影響は以前に応力履歴を受けた主応力軸方向α_<JI>と再載荷時の主応力軸方向α_<JII>との相対的な関係によって決まり、主応力軸回転角が(2α_<JII>-2α_JI>)=±150°の方向で、せん断剛性の低下が最も著しい。 次に, 微視的観点から土要素内に無数の潜在的すべり面が存在するとの仮定に基づいて誘導した三次元構成モデル『多方向すべりモデル』により, 種々の条件の下における砂の変形挙動を予測した. その結果, 1) 堆積過程において, 堆積面ではせん断応力に対する抵抗が最小となるような初期異方構造が形成されるとの考えに基づいて潜在的すべり面上の応力-ひずみ関係を規定することによって, 試験結果が示す砂の変形強度の生得異方生を適切に説明できる. 2) 各潜在的すべり面上におけるせん断挙動に, Bauschanger効果を適切に取り入れることにより, 主ひずみ方向の変化および, 砂の変形挙動の誘導異方性をよく説明できる. 等, 構成モデルの有用性が検証された.
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