研究概要 |
表面部分に大きな強度を有する正規圧密粘性土地盤, 即ちクラスト地盤の支持力, 変形特性を明らかにするために, 新たにクラスト模型地盤作成手法を考案し, これを用いて模型実験を実施し, 合せて上界値計算による安定解析を行った. その結果, 以下の結論を得た. 即ち 1.上下反転可能な模型容器を用い, 実験室内での層毎に圧力を減じながらの圧密と容器反転後の遠心圧密を組み合せることにより, 地表面部分に大きな強度を有し, それ以深で強度が深さ方向に増加する粘性土地盤の作成が可能となった. 2.地盤表層に強度の大きなクラストが存在すると, 地盤の支持力は増大し載荷に伴う変形はクラスト下部の弱層付近に集中する. 3.クラスト下面の強度Cu2と上面の強度Cu1の比Cu2/Cu1が0.2程度であれば, クラスト厚hと載荷幅Bの比h/Bが小さいほど, つまりBが大きいほど支持力値は減少し, 深さ方向に強度が増加する典型的な正規圧密粘性土地地盤の支持力特性とは逆の傾向を示す. 4.上界値計算より得られた破壊のメカニズムは, 実験の破壊形状とよく一致し, また実験より得られたCu2/Cu1の増加に伴う支持力係数Nc1の増加傾向を計算からも得ることができた. しかし支持力上界値は実験値に比べ30%程度大きくなり, この原因として計算には強度異方性が考慮されていないことが考えられる. 以上示した結論は, 限られた幾何的条件, 強度条件の下で行った実験より得られたものである. クラスト地盤は, 数多くの幾何的及び強度条件を持つので, 今後更に研究を進めるに当り, 多くの条件の下で実験を行い, 加えて異方性を入れた支持力計算法を確立し, 支持力の予測精度を向上させていく予定である.
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