研究概要 |
耐震強度を通常の建物より意図的に低く設計した鉄筋コンクリート造弱小モデルを対象に, 1983年8月より実地震時よる応答観測を行なってきた. これまでに, 100個以上の地震応答を記録したが, その中でも応答規模の大きかった2つの地震応答記録について簡単に報告した. 弱小モデルのほぼ降伏状態に達する応答を確認した. また, それらの地震動による弱小モデルの振動特性の変化を知る目的で行なわれた自由振動実験について報告し, 地盤のロッキング・スウェイ特性を静的載荷実験により確認した. この実験結果は, 地盤の特性を加味した弾塑性地震応答解析を行なう上で, 貴重の資料となった. また, 収録された記録を検討した結果, 1.静的非線形解析のよる強度, 剛性低下, 崩壊形 2.地震経験による固有周期ののび 3.地動の周波数特性 4.地盤の特性 を総合的に考慮することにより, 建物の地震時における非線形応答をマクロに把握できることを明らかにした. なお, 水平2方向, あるいは鉛直方向を考慮した3方向地震道入力に対する建物の挙動をより詳しく解析的に追求するのは, 今後の課題である.
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