研究概要 |
本研究では, 地震動の建築構造物に及ぼす荷重効果の定量的な把握を目的として, 基礎-構造物模型を実地盤上に設置し(1)実地震波の観測, (2)起振機実験と数値シミュレーション, (3)繰り返し順静的載荷実験とオンライン応答実験, (4)繰り返し荷重による基礎底部と側壁の応力分布, (5)起振機拓振による骨組への入力エネルギーと実地震波による入力エネルギーの数値シミュレーション等を実施したもので, 内容の要約は以下のようになる. 1.昭和61年6月24日千葉実験所で記録された地震-基礎-骨組系の応答に関する良好な観測データが得られた. また, この観測模型の上部骨組の剛性と質量を用いて基礎の質量を無視した1質点系オンライン応答実験を行ったところ, 上部骨組の質量が重く, 剛性が高い場合(相互作用の影響が大)にも, 上部骨組の観測卓越周期を現わすことができ, オンライン応答実験が十分適用可能であることが判明した. 2.従来, 根入れをもつ基礎構造物の波動論に基づく簡便な解析手法の多くは, ロッキッグモードの仮定による剛性評価が行われた. 本研究では, かなり大胆な仮定のもとで, 基礎重心の水平度位モードと回転モードの2つに分け, 基礎の変位モードをその和で表現する方法によって剛性評価を行った. 共振曲線に関する数値シミュレーションによって結果の一致を得た. 3.半無限地盤上に設置された基礎-構造物系(根入れのない場合と根入れのある場合を含む)の振動解析モデルを考案し, 地震波を入力したいときに地盤の波動散逸減衰と地盤自身がもつ内部減衰の影響を考慮することが可能な実用的解析手法について述べた. 以上のような研究成果をふまえ, 構造物の損傷(被害)に直接関係づけられると思われる地盤との連成を考慮した骨組系への有効入力エネルギーを定量的に評価する方法を提案した.
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