研究概要 |
偏光を用いる変角光度計を製作し, これを用いて各種建築仕上げ材料の反射指向特性を表皮反射・層内反射の両成分に分離する測定を行い, 比較的よく使用されている大理石, プリント合板, プラスチックタイルは, フレネル型正反射またはこれに近い準正反射を示す表皮反射成分と, ほゞ完全拡散反射に近い層内反射成分の組み合わせであることを明らかにした. つぎに理論的研究として, フレネル型正反射成分を含む面内の相互反射の一般式を導き, その解法のもっとも単純な場合として天井面がこのような正反射成分を含む面である片側採光室につして数値解を得た. この結果より作業面間接照度を得て, 別に求めた完全拡散の場合の値とを比較して両者に大きい差が無いことを確かめた. 別に, 模型実験の手法により, フレネル型正反射に近い成分を含む面をもつ側窓室の作業面間接照度の性状を明らかにした. 天井・壁・床の各々が上述の正反射を含む場合と, すべてがほゞ完全拡散反射性の場合とについて, 作業面上の間接照度を比較し, 床面が正反射を含む場合にはかなり増加することがわかった. またベネチァンブラインドの透過率の測定を行い, 羽根板を完全拡散反射性と仮定した場合の理論的透過率と比較して, 羽根板への入射角が大きい場合以外はほゞ等しいことを明らかにした. 以上要するに, フレネル型正反射成分を含む面が天井など一部に使用される場合の相互反射の性状は, 完全拡散面内の相互反射の性状とほゞ同様で, 相互反射による間接照度の予測は完全拡散仮定で十分であることがわかった. ただし, 正反射成分を含む面への初めの入射光束が大きい場合や入射角が大きい場合にはその影響を考慮しなければならない.
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