研究概要 |
1. 共役勾配法を用いた定常解法: 2次元および3次元の層流, 乱流, 非等温度乱流について, 共役勾配法を用いた定常解法によるプログラムを開発し, その有効性(計算時間の大幅な短縮, 安定性, 簡明さ等)を明らかにした. 2. 一般座標系の共変流速に対する解法: MAC法のようなスタガードメッシュ系について一般座標系による解法を新しく定式化し, 上述の解法と組み合わせた算法を開発して2次元層流に適用し, その有効性を示した. 3. 床暖房室内の定常時の熱環境分布: 上述の定常解法を利用して, 壁面間の放射授受をも含めた3次元非等温乱流の床暖房室内の予測プログラムを開発した. 計算結果やマーカーの飛跡を透視図で表わし, 定常解の様相が視覚的にも把握されるようになった. 4. 床暖房と温風暖房の非定常時の特性: 暖房開始後の昇温特性と停止後の降温特性を床暖房と温風暖房について比較するための計算法を開発し, 数値実験を行なった. 気温と気流は一様を仮定しているが, 壁面温度や温冷感指標の空間的分布の時間的変化を算出し, 両暖房方式の立ち上がり特性の差が把握された. 5. レーザーライトシートによる流れの可視化: メタアルデヒドをトレーサーとしてレーザーライトシートによる可視化実験を行ない, 模型室内の自然対流や強制対流が鮮明な画像で把握された. 6. サーモカメラによる温度分布の可視化: 室内に布または網状の膜面を設け, サーモカメラの映像により空間の温度分布を可視化する実験を行ない, 誤差の程度を確認し, 温度分布の定性的な把握には役立つことが示された. 7. 残された研究課題: 一般座標系解法の3次元非等温乱流計算, 同一の対象に対する数値予測と模型実験の比較検討, 汎用プログラムの開発などが今後の研究課題として残された.
|