研究概要 |
1.木造瓦葺とRC造陸屋根の二種類の家屋の室内温熱環境を実測値から比較すると, 夏季においては, 木造の室内気温は外気温に追従するが, RC造においては気温の変化が緩慢で, 夜間の気温が中々下がらず, 木造に比較して2〜3℃高く不快な条件になり易い. 一方冬季は気温変化が小さいこと, 建具の気密度が高いことにより, RC造の方が好条件となっている. 2.RC造が木造に比べて夏季の温熱環境が劣るのは, (1)日射による屋根, 壁の構成材料の蓄熱量が大きいこと(2)瓦の凹凸が持つ放熱効果(3)瓦の吸水による気化冷却効果などの要因による. 特に(1)の要因は大きく作用する. 3.沖縄においては太陽高度からみて夏季の屋根面への日射量が極めて大きい. 従って屋根, 天井間の断熱と共に, 屋根面を日射から遮蔽し, 受熱量を低減することが有効である. 4.在来木造家屋の雨端は居住空間への日射遮蔽効果が大きい. RC造住宅も南面の日射遮蔽を工夫し, 特に庇の効用を生かる必要がある. 5.東西の壁の日射遮蔽には防風効果も含めて屋敷林を活用すると良い. 6.日射遮蔽と共に通風は重要である. 沖縄の住宅に有効な通風効果をもたらす開口部の面積比率は, 風洞実験からみて床面積に対して20%程度である. 面積のみならず開口部の配置も重要である. 特に通風の悪い間取りら避けることが肝要である 7.一方, 防風のために密な屋敷林は必要であるが, 通風を確保するために樹木の下枝を払い, 生活風の流入を計るべきである. 8.沖縄においては冬季の気温は差程低くはないが, 日照時間が少なく季節風が強いため, 体感気温は以外に低くなる. 特に隙間風による不快感を除くため建具の改善が必要である. (以上3〜8に述べた項目を沖縄における住宅の主要な設計指針として提案したい. )
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