研究概要 |
選鉱プラントに見られる多くのプロセスは, 扱う原料が自然に産する鉱石でであるため, 定量的には記述しにくい性質たとえば鉱物組成, 粉砕性あるいは浮遊性などがプロセス変数として関与してくる. そのためプロセスの精密な数学モデルの作成あるいはその同定はきわめて困難である. このような条件下では一般的に精密な数学モデルを必要とする現代制御理論の適用は実際的ではない場合も多い. ファジィ制御つまりあいまい制御は, 現場の技術者の勘や経験にもとづくいわば定性的な制御動作を, ファジィ集合論を適用したファジィ推論の電算機による実行によって実現する制御方法である. 選鉱プラントの制御における上述の特殊性に鑑み, あいまい制御に関する研究を行った主な結果を記述すると, 下記の通りである. 1.ファジィ推論の1つの基礎となるファジィ規則ならびにその設定方法の検討. 1.1典型的なファジィ規則によるファジィ推論の結果としてのコントローラ出力に注目してみると, 制御偏差つまりコントローラ入力の変動周波数が低い場合には, コントローラの動作はPI動作に近似しており, 周波数の増大とともにヒステリシスを伴う2位置動作に移行することがわかった. この知見はあいまい制御系の安定性を解析的に判別する際の重要な基礎となる. 1.2転動造粒プロセスに対してあいまい制御を適用することを例としてとりあげ, 位相面解析法を利用してファジィ規則を設定する方法を提案した. 2.あいまい制御の有効性のシミュレーションによる確認 選鉱プラントにおいてしばしば遭遇する特徴的な特性, すなわち非線形, 逆応答, パラメータの操作量依存性などを呈するプロセスに対してあいまい制御のシミュレーションを実施し, その効果を検証した.
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