研究概要 |
ネオデュームー鉄-ボロン化合物, サマリウムーコバルト化合物永久磁石の高分解能電子顕微鏡観察, ローレンツ電子顕微鏡観察から次の結果を得た. 1.ネオデュームー鉄-ボロン永久磁石 (1)Nd_2Fe_<14>B化合物の母相は, 析出物, 不純物, 欠陥のまったくないきれいな結晶であり, 磁壁のピンニング, 逆磁区の発生サイトは結晶粒内に見ることができなかった. (2)母相どうしの粒界には, 数十nmの粒界相があり, 非晶質に近いリング状の電子回析パターンを示す. それらは, 体心立方構造の指数づけできた. (3)磁壁は母相結晶内を容易に移動し, ピンテングがおこらない. (4)ボロンは, α-Fe相の析出をとめるために必要で, ボロンの少い組成では保磁力が急激に小さくなる. (5)高保磁力の原因は, 粒界から粒内に磁壁が入る時におこるピンニングによるものと考えられる. 2.サマリウムーコバルト永久磁石 (1)SmCo_5, Sm_2Co_<17>の相共な組織が観察された. (2)界面は, 格子のミスフィトによる歪が存在し, 磁壁のピンニングサイトとしてはたらく. (3)磁壁は, 界面にそって観察され, 界面でピンニングされているのがわかった. (4)焼純時間を長くすると, 2相は成長し, 界面歪は小さくなりピンニングの力が弱くなり, 保磁力が低下する.
|