研究概要 |
FRMの製造上の問題点は, マトリックス金属と強化繊維との結合法が十分でないことである. 従来マトリックスは溶接状態におかれているものが多く, 固相接合の例は少い. これは, 固相接合の場合, 圧着力が大きいため, 繊維の損傷が大きく, 強度低下を招く恐れが多いことによる. 本研究では, FRMの製法として生産性が高く, 能率のよい固相接合法として, 超塑性粉末をマトリックスとして利用する方法を開発するものである. マトリックス粉末としては, 超塑性を示すSPZとSPAを用いた. 強度を負担する繊維としては, SiCの長繊維と短繊維を用いた. 製造法はホットプレス法で, 温度250〜410°C, 圧力70MPa, 時間15分であり, 繊維を損傷するような圧力ではなく, 反応が急激に生ずるような温度, 時間でもない. 従って, 従来法の欠点を補う方法として理想的な製造条件である. なお, 短繊維強化のFRMでは, 繊維の配向及び分布を改善する目的で超音波振動を付加する実験を行った. 本研究で得られた成果を要約すると, 1)SiC長繊維強化FRMでは, ヤング率, 引張強さともROM値に近い値が得られている. 2)短繊維強化FRMについては, 超音波を付加することにより繊維を分散させることができ, 最適超音波付加条件を明らかにすることができた. 3)繊維の分散状態をSEM写真で観察することができた. また分散状態と強度との関係はAE法により調べることが可能であった. 4)曲げ加工については, 250°Cから480°Cまで広い温度域で試みた. その結果, 250°Cでは繊維の破断が著しく成形後の強度に問題が残るが, 480°Cでは, 繊維の破断はほとんどなく90°のV曲げが可能となった.
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