研究概要 |
1)木造トラスについては, フィンクトラスの部材断面自動計算プログラムとスパン3.65m以下の場合にはキングポストトラスにも出来, かつ合板がセット釘打ち方法の表示も行なうプログラムの2種類を開発し, 一般地域用のCN50釘と多雪地域用のCN75釘による各3体のキンクポストトラスの剛性および耐力試験を行ない, 計算の妥当性とCN50釘の両面打ち接合においても多雪地域での充分な耐力があることを認めた. 2)テーパー部材構成の山形ラーメンの軒肩部の接合を単純にフィンガージョイントしたもの, その内部をフィレットで補強したものおよび中間材を入れて2段階に接合したものの3種類の試験体を作製し, 剛性および耐力を試験した結果, 後2者は単純接合のものに比べ, 剛性で約3割, 耐力で約4割向上することを確かめた. 中間材挿入方法が接合の作業性が良いことからこの種の接合工法として推奨される. 3)合板がセット釘打ち工法により接合された木造山形ラーメンの3試験体について鉛直荷重試験により, その変形解析を行ない, 仮想仕事法に基づく比較的簡単な段階的線形解析法により, 実用的に充分な精度で, その非線形変形解析を行なえることを確認した. この計算法は-度数値解析プログラムを作成しておけば, 釘1本当たりの荷重-すべり性能を基礎データとして様々な釘配置を取り扱えるので, 接合部の設計に有用である. 4)釘葉樹間伐材の有効利用として設計したI型梁において, 個々の使用材料の弾性定数と断面構成から予測した曲げ剛性は安全側であることが確かめられ, 曲げ耐力はフランジとウェブの強度のバランスを考えて設計することが重要で, 一方のみの材質を高めても梁全体の強度は向上しないことが実験により確かめられた. この梁は今後さらに性能向上と軽量化を計ることが必要で, 新材料の併用も検討を要する.
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