研究概要 |
前年度に引続き,老朽溜池改修法につき,現状の池の調査及び代表的事例ならびに共通的なモデルによる解析により, 改修法を具体的に検討した. この結果以下のような成果を得た. 1.溜池データ(台帳)の整理から,全国的にほぼ同様に分布するのはやはり比較的小規模の溜池(堤高3〜10m程度)が多いことが確認できた. また,これらのうち1〜2割のものが改修の対象になっていることがわかった. 2.改修法として当面考えられているものは,前乃金I,樋管の補修及び余水吐の補強(通水断面の拡張)が主たるものである. 3.解析では,5〜15m高のものを対象に,前乃金I,中心コア法,ドレインI及びグラウトI等を想定し, それらの浸透抑制効果を検討した. 土質及び構造形式にもよるが,前乃金Iが最も効果が期待できることが判明した. しかし,その改修の程度(規模)によっては,これら各種I法を適宜組合わせることによってより効果を上ゲ得ることもわかった. 4 構造安定問題では,溜池内部斜面が貯溜による水位上昇により, すべりを生ずる可能性も地山条件によっては多々あり,堤体のみならず地山斜面にも充分溜意し, 改修を進めることの必要性も明らかとなった. 5.事例的には光明池改修(前乃金I)を対象に改修後の浸透流調再から,解析の成果を裏付ける結果も得,今後,対象となる事例について,その挙動の予測が出来る処理プログラムの基本型を作ることができた. しかし,個々の事例の検討には,その池の周辺の地質・地形及び土質等の調査の必要性があること,そしてそれらに基づいた入力条件を整えることが不可欠である. なお,以上の結果などを成果物として印刷する.
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