研究概要 |
本研究は, モーダル解析の手法を応用して, トラクタの重量の大部分を占めるフレームについてその重量を軽減させることを目的として行ったものである. まず, モーダル解析を行う場合, その最も重要なことは精度のよい伝達関数を得ることである. 本研究においては, 実際に市販され, 使用されているトラクタ・フレームを研究のモデルとして使用し, 53自由度の有限要素を設定してモーダル解析を行った. また, トラクタ・フレームは実際の使用状態でモーダル解析する必要があり, そのための実験装置を製作した. 本研究においてはインパクト加振とランダム加振の2種類の加振方法によってそれぞれ伝達関数を求め, それによるモード特性の相違について検討した. その結果, 低周波数の領域ではランダム加振, 逆に高周波数の領域ではインパクト加振が有利であることが判明した. トラクタ・フレームのモーダル解析の結果に基づいて, 最も振幅の大きい数箇所を選び, その箇所に3軸のストレインゲージを貼付し, 平面ひずみを測定した. 加振方法はインパクト加振を採用し, その応答として各軸のひずみを検出していわゆるコンプライアンス伝達関数(ひずみ/力)を測定した. すなわち, モード点における衝撃荷重に対する応答としてのひずみを測定することにより, 動的な応力特性が求められる. したがって, トラクタ・フレームに限らず一般の構造物における軽量化設計には, コンプライアンス伝達関数から動的構造強度を求める方法が有効な手段であることが判明した.
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